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2050年の低炭素社会に向けて 私たちができること

次世代自動車

2008年夏に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」において前面に打ち出された言葉のひとつが「次世代自動車」だ。その定義と開発・普及状況、そして普及に向けた取り組みを、環境省 水・大気環境局 自動車環境対策課 課長補佐 井上清登さんに聞いた。

次世代自動車とは?

「低炭素社会づくり行動計画」で定義される次世代自動車は、ハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車、CNG自動車等(下表参照)。現在、国内で販売される新車に占める次世代自動車はおよそ50台に1台。同計画では2020年までにそれを2台に1台まで高めることをめざしている。
「次世代自動車普及の目的は、いうまでもなく低炭素社会に向けた輸送部門でのCO2削減です。これらの技術は自動車メーカー各社が低公害化などの観点から、以前から取り組んできたものでもあります」と井上さんはいう。

現在の開発と普及度

国内での普及状況は、「プリウス」をはじめとしたハイブリッド自動車が主流。だが、将来的にどの方式が次世代自動車の主流になるかは見えていない。今年夏には、ガソリン車同様に使える電気自動車が世界にさきがけて三菱自動車と富士重工から発売され、早ければ今年中にプラグインハイブリッド自動車もトヨタ自動車から発売される見通しだ。また、トヨタ自動車とホンダが取り組む燃料電池自動車についても、実用化に向け、明るい兆しが見えているという。
世界的な開発動向に目を向けると、欧州メーカーはクリーンディーゼル自動車が主流で、米国メーカーは開発がほとんど進んでいないのが実情だ。
「次世代自動車技術は、国内メーカーが世界をリードしている分野。これは国際的な競争力・技術力の強化という面でも期待されています」(井上さん)。
一方、普及という観点で注目されるのは、電気自動車本体を低価格で販売し、使用するバッテリーのレンタルでビジネスを成り立たせる計画を掲げる米国・ベタープレス社の取り組みだ。
「バッテリーが高額であることが、電気自動車が割高になる理由です。しかし普及が進めばバッテリーは確実に安くなり、100万台普及すればガソリン車より電気自動車の方が安くなる、とも言われています。同社の取り組みは、普及促進に向けた方法論のひとつといえるでしょう」(井上さん)。

普及に向けた取り組みと支援

次世代自動車の普及に向け、自動車税、自動車取得税の軽減措置がなされているほか、平成21年度からは自動車重量税の減免も行われる。また電気自動車を購入する地方自治体には補助金を交付する予定だ。これには、ガソリン車の3倍前後の価格になると見られる電気自動車を公的機関が積極的に買い支えることで、将来の低価格化につなげる狙いがある。 充電インフラ整備に関しては、平成21年度から電気自動車用の急速充電設備を設置した場合、固定資産税の最初の3年間の課税標準を2/3にする優遇措置をとることが決定している。だが「インフラ普及には、補助金や税優遇だけでは限界がある」と井上さんはいう。
「ビジネスモデルが未確立のまま補助を行っても、設置者の負担が必要になることに変わりません。電力・石油業界等とともにどのようなビジネスモデルが可能か広く検討し、場合によっては充電スタンド設置に関する各種規制を緩和するなどしてその確立に向けた支援を続けたいと考えています」。
今後、環境省では51台の電気自動車と電動バイクを使い、実証実験を行う予定だ。
「電動自動車は自治体で公用車として、電動バイクは宅配便会社と郵便事業会社で集配用として使ってもらう予定です。それにより、従来のものと遜色なく使えることを実証していきたいと考えています」(井上さん)。

(取材・文:滝内康友)

次世代自動車の概要

方式 実用化のめど 特徴
ハイブリッド自動車 すでに実用化 エンジンのほかモーターとバッテリーを備え、ブレーキ時の回生エネルギーを再利用する
電気自動車 2009年夏 家庭用電源で充電可能な大型バッテリーを搭載し、モーターのみで走行。回生エネルギーの利用など、ハイブリッド自動車との共通点も多い
プラグインハイブリッド自動車 早くて2009年中 ハイブリッド自動車のバッテリー性能を強化したもの。家庭用電源で充電可能など電気自動車に近い特徴を持つ
燃料電池自動車 未定 水素と酸素などの化学反応から電力を取り出す化学電池によりモーターを駆動する
クリーンディーゼル自動車 すでに実用化 窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)などの排出量を削減したディーゼルエンジンを備える。欧州を中心に乗用車でも普及が進む
CNG自動車 すでに実用化 天然ガスを燃料にした内燃機関を備える。技術的にはディーゼルエンジンを改造することで容易に実用化可能。小型・中型トラック中心に普及が進む
水素自動車 未定 水素を燃料にした内燃機関を備える。走行中のCO2排出量はゼロだが、技術的な困難さに加え、窒素酸化物(NOx)を排出することも課題のひとつ