車に依存しないまちづくり(ポルトガル/アルマダ)
アルマダ市の交通事情
アルマダとリスボンをつなぐ吊橋
ポルトガルのアルマダ市は、リスボン市の南対岸に位置する都市で、リスボン市とは2,278mのつり橋で繋がっています。ポルトガル南部からリスボンに至る幹線道路がこのつり橋を通るため、1日あたり16万台もの自動車がこのつり橋を利用しています。こうした道路事情もあり、アルマダ市民の生活は車に大きく依存しています。
1998年の統計によれば、アルマダ市の乗用車台数は57,000台でした。保有率は1人当たり0.35台ではあるものの、車の流出入台数は1日当たり14万台で、交通量は過去4年間に毎年6%ずつ上昇しています。
車により生活が便利になる一方で、これらの車に依存した交通事情によって受ける騒音や大気汚染の被害は深刻です。幹線道路や商業地区周辺の人口集中や、十分に保たれていない幹線道路と住宅との距離等で昼夜の騒音被害は非常に大きく、CO2排出量に至っては、アルマダ市の交通部門一人当たりのCO2換算排出量が1年あたり1.76トンと、ポルトガル平均である1.47トンを大きく上回るほどになっています。
こうした交通事情を受け同市は、地域の交通機関や企業、団体、市民等と共同して、どのようにすれば乗用車を使わず、健康的な環境のもとで快適な生活ができるか、人々の意識を変える試みを行うことにしました。
車を使わない日キャンペーン
子供たちによるイベント(写真提供 アルマダ市)
車に依存せず、環境に配慮した生活スタイルへと人々の意識を変える第1歩目として、アルマダ市は、2001年3月から半年間、祝日を除く木曜日7:00より19:00まで「車を使わない日キャンペーン」を行いました。
キャンペーンの参加希望者は、受付所で登録し、車に貼るステッカーやシール、参加証等を受け取ります。そのステッカーを車のフロントガラスに貼り、木曜日に参加証を示せば、様々な割引特典が受けられるというものでした。キャンペーンの開始時には市長も市長車にステッカーを貼ったり、子供たちによるイベントが開催されたりと、キャンペーン成功に向けて様々な工夫が行われました。
キャンペーン後は、アンケートやデータの集計等による活動評価、制度の改善や定期的な討論会の開催といったフォローアップの機会を設け、キャンペーン自体の意義や効果の検証も行っています。
このアルマダ市が行った「車を使わない日キャンペーン」については、その後の調査により市民の60%がキャンペーンの存在を知っていたにも関わらず、登録者数は全市民の0.6%にあたる1,000人に留まったことが分かりました。担当者の話によると、週一回であっても車を放棄することに対して強い抵抗が市民にはあった上に、短期的に意識を変化させるのは難しかったとのことでした。
登録者数は伸び悩みましたが、同市はこのキャンペーンを通して、エネルギー消費や大気汚染の面からも過度の車の使用を警告し、改善対策が必要であることを訴え、その結果人々の移動のあり方について関心を喚起し、議論を巻きおこすことが出来たといいます。
加えて、多くの公共・民間組織の参加により、相互のパートナーシップが強化され、より深い協力関係ができたこともこのキャンペーンによる成果の一つとなりました。
更なる取り組み
アルマダ市は、「車を使わない日キャンペーン」の他にも乗用車の利用を減らす取り組みを行っています。
2001年に同市が策定した交通移動計画「アルマダ市アクセス21のためのモビリティー計画」は、その取り組みの一つです。この計画においては、歩行者優先地区の整備や駐車場対策、自転車道の整備、公共交通機関へのモーダルシフト4等、乗用車の利用を減らす新たなルールを作って、徒歩や自転車、公共交通利用等に移行していくことを目標としています。
また、2005年には長い間ポルトガル政府に要求していた低床型路面電車の路線が敷設されました。これにより乗用車の代替交通手段が一つ増えたことになります。
アルマダ市の取り組みは上記に留まらず、新たなアイディアで車利用を削減するキャンペーンに積極的に取り組んでいく方針です。

