

--『Re-Style Talk Show Tour2009』に、出演してみてどうでしたか?
「若い世代に向けての、こうしたエコ・イベントは意味があると思います。クイズ大会では、ふざけている生徒もいましたけど(笑)、それはそれで、彼らの中に良き思い出として残っていくでしょうし。これから将来を見据えて、いろいろ具体的に考えていこうとする時期じゃないですか。今回のやまださんの話は、高校生たちにとってもわかりやすかったし、心に種を蒔いてくれたようなことでもあったんじゃないかと思うんです。中には、今回の話が、自分の将来や好きなことに直結してくる生徒もいるかもしれないし、行動に移せる生徒ももちろんいるでしょうし。あのときピンとこなくても、高校生という時期に、今起きている環境問題について知っておくことは、ゆくゆく"自分"を形成していく過程に何らかの影響を与えることにもなるんじゃないかと思います」
--ご自身、高校時代のことで何か、今の自分に影響を与えていることがあると思いますか?
「僕も男子校だったんです。男子校の男子って女子と気軽に話せないぶん、むしろ男同士の団結が強まるんですよね。なので、そういう濃いつながりの中で変に偏った価値観が生まれていったり(笑)、それがまた、卒業して違う社会に出て、『あぁ自分ってひん曲がってたんだ』って改めて知ることもできる(笑)。それでも高校時代にみんなで共有した感覚がいまだに残っているのが、会ってみるとわかります。それは僕にとって財産になっていると思いますね」
高校時代、軽音楽部に所属していたと言う秦さん。そして当時のメンバーとは今でも付き合いが続いている。
「卒業のときに、メンバーで仲のいい友達が、号泣しちゃって。男なんですけど(笑)。彼は、高校生活がすごく楽しかったみたいで、それが終わってしまうのが心底悲しかったのか感受性が豊かだったのかわかりませんが。『すごく楽しかったー』と言って大泣きしている彼を、まわりは大爆笑、でもそんな彼をみんなでハグしたのをよく覚えています。会えば、いまだにそいつに当時のことを言うんですけどね、『あのとき泣いてたね』って。僕は、その頃18(歳)の男が号泣するなんて見たことがなかった。でもそういう彼も、その状況を笑っているみんなも、そういうもの全てが愛おしいというか、『よしよし』って感じで(笑)」
こうした高校時代の経験を、改めて振り返ってみたときに、"人間ってあんなふうに号泣するんだ"とあの時に知った自分に気づいたりする。身近に起きた出来事や体験から、時間や距離を置いて見えてくるものは、小さな宝物だ。それに気づくかどうかで、その後の人生が変わることもある。

そして秦さんは、以前は環境問題について尋ねられても、壮大な問題のような気がしてピンとこなかったと、戸惑う気持ちを打ち明けてくれた。
「"エコ"と言われても、どこからがエコ活動なのか、という線引きが、僕自身がわからないんですね。それと個人の意識の持ち方で果たして解決できることなのかどうかとか……。『環境問題』と聞くと、"南極の氷"とか"オゾン層"とスケールが大きくなってしまって、想像はできるけど実感が持てなかったりして。でも今回のイベントでも、太陽光の話などを聞くと、自分の中でイメージが結びついて、環境問題を身近なこととして捉えることができますよね。それは、とても大事なことだと参加してみて思うんです。例えば、僕がゴミを分別して捨てたとしても、それが実際のところ何につながっているのかを知らなければモヤモヤしてしまうけれど、きちんと説明されたことで、ゴミの分別問題が南極の氷解につながる。それを理解すると、自分がすべきことに対してクリアになっていく。こうしてプロセスとゴールとが見えるのは、いいことですね。そうしたらゴミを分別するときに『ま、いいか』ではなくて、『ちゃんとやらなきゃ』と思えるようになるのかもしれない」
それとともに、自分が幼い頃から家で躾けられてきたことが、今一度蘇り、現在起きている問題をひもとく根源に結びつくことに、ふと気づく。
「僕のこだわりとして、"物を無駄にしない"というのがあります。いろんなものが溢れて使い捨てられる状況であるからこそ、意識していることなのかもしれませんが。それって子どもの頃に、親に言われたこと――『水は流しっぱなしにしない』『電気はこまめに消す』」とか――躾けられて自然と身に付いたことなんですよね。
今回、『Re-Style Talk Show Tour2009』というイベントを通してあらためて環境問題の原因を知ったことで、自分が日常生活で気を付けていることが、環境問題を考える上で、わずかながらつながっているということに気付かされました。こういう些細なことでも、やれることをやろう、やり続けていかなきゃな、と思えたし」
透き通るような声で、けれども凛とした響きを持った口調で、一語一語、言葉を紡ぎ出すように秦さんは話す。自分のしてきたこと、大事にしていることが、間違っていなかったことを改めて確認しているかのように。
「人それぞれ考え方が違っても、行動が伴わないと始まらないし、やがて小さな積み重ねが大きなうねりになっていくと信じたいですね。
僕にできることは歌を作って歌うということだけ。僕の歌を受け取った人が、どう感じてくれるかは人それぞれだと思いますが。けれど1つ、歌っていくなかで僕が思うことは、強くあるというのはある意味優しくあるということ。それはいろんなことに対して。環境に優しくあるというのは、強くあることだと思うんですよ。受け入れる強さと優しさ。これは、僕の理想です。環境に対しても、優しい気持ちで向き合っていきたいなと。自分が歌に込めたメッセージから、何か感じ取ってもらえて、それぞれの人の中で優しい気持ちが芽生えたら、嬉しいですね。」
たとえ一人の行動が些細なことであっても、それが誰かに届き、そこからまた誰かに。時空を超えて歌い継がれるメロディのように、広がっていく可能性を秦さんは示してくれる。山で生まれた小さな雫が小川になり、河になり、そして大海になるように。だから焦らずに一つひとつ続けていく大切さを秦さんの言葉は思い出させてくれるのだろう。
マイ・タンブラー
普段、ライブでは自分のタンブラーを使っています。タンブラーなら何回も使えるからいいですね。普段は専用のハーブティが入っているんです。
